契約書にサイン
今日は、ついに契約書にサインする日です。ぼくたちパンサーズは、ホームでディフェンディングチャンピオンの「ベリー」を迎えての試合に挑みます。ウォーミングアップも終わりみんながクラブハウスに引き上げるころ、ひとりの選手が監督に呼ばれ深刻に話し込んでいます。ぼくがストレッチをしているすぐそばで話していたので聞き耳をたてていると、どうやら彼がぼくの代わりに解雇される選手のようでその告知をされていたようです。彼は、ベネズエラ出身の『リオ・ガルシア』という外野手で、アメリカの大学に通った後『アリゾナ・ダイヤモンドバックス』のマイナーリーグでプレーしたことのあるすごい選手です。お互い外国人で言葉の壁に苦労した経験のある彼は、いつもやさしく声をかけてくれとても仲の良いチームメイトのひとりでした。なんだか、さびしい気もするし、でもやっぱりうれしい気もするし、今まで味わったことのない複雑な気持ちになりました。そして、彼からユニフォームを受け取り、これでやっと試合に出ることができます。帰りの別れで『Good Luck!』と声をかけてくれしっかり握手を交わしたので、彼の気持ちを無駄にしないよう一生懸命がんばらないといけないなとあらためて気を引き締めた一日でした。試合はというと、延長10回にサヨナラ勝ちし3試合ぶりの勝ち星をあげましたが、試合後は円陣を組み、監督から「プレーオフに出場するには、これ以上負けられないぞ!!」と激しいゲキが飛んだので、チームも良い雰囲気になって気合が入ってきたように感じます。でもやっぱりそこは陽気なカナダ人、試合後は何事もなかったかのようにバーへ出かけ、ビールにダンスに騒ぎまくっていました。野球も遊びもこのぐらい楽しまないといけないなと思いながらぼくもはしゃいでみましたが、やっぱり疲れて2軒目でギブアップ‥
そして、ここからがサプライズ。実は今日の試合後、クラブハウスで帰り支度をしているとGMからお呼びがかかり、外へ来るよう指示がありました。そしたら、なんと彼はそっとぼくに現金を渡し、今週の給料だと言うのです!ぼくが所属する『Intercounty Baseball League』は、観客が入りテレビ中継もある大きな組織ですが、あくまでも『セミプロ(準職業的な)』です。したがって、ぼくは「観光ビザ」で入国し「就労ビザ」とは違いお金を稼ぐことはできません。ですから、通常、給料の支給は振込みや小切手でされますが、ぼくたち助っ人外国人にはその記録が残らぬようそっと現金で支給するというわけです。確かにそういう話は聞いたことがありましたが、まさかうちのリーグが給料をもらえるセミプロだとは思ってもいなかったのでびっくりして給料なのか食事代なのか確かめてしまったぐらいです。ただ、ここまで大げさに書きましたが、給料の額は1週間で『100ドル(約11,000円)』です。これはバイトの給料よりもはるかに低い金額ですが、まあ野球をするだけでお金が稼げるのですからぼくにとってはおいしい話ですね!でも、これがばれると一生カナダに入国できないぐらいヤバいことなので、絶対に内緒です!!
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