決意
“Baseball”の起源は、1839年米国軍人アブナー・ダブルデイによって考案され、南北戦争の合間をぬって軍人の娯楽として広く全国に普及した。
一方、“野球”の起源は、1873年明治維新のまっ只中にアメリカ人教師ホレエス・ウィルソンによって伝えられ、試合開始前の挨拶や連帯責任など教育の一環として広く全国に普及した。
野球とBaseballは別物だと言う人がいる。ぼくもBaseballに携わる者としてそう思う。特に学生野球に関しては、その差が著しい。
同じルールの下で同じ道具を使っても、そこから出る一種の魅力は、選手ひとりひとりに違った表情を映し出す。
野球好きにとって甲子園は、選手達の汗と涙、そしてあの真剣な眼差しがたまらない。しかし、Baseball好きにとっては、時としてその光景が痛々しく見える。
どちらが正しいかという意味ではなく、どちらを好むかは人それぞれであるが、本来の野球はBaseballから始まったということで間違いなさそうである。
教育の一環として始まった野球は、他校に負けられないという過剰な競争心やスパルタ式練習をあおり、教育的意義としての野球もまた、過剰な礼儀や上下関係など一種の軍隊的な風潮を生み出した。
こうやって、野球の歴史を学んでみると、なんだかあたり前のように見かける野球の風景も納得できるような気がする。
ただ、以前まではあたり前だと思われていた野球も、メジャーリーグにおける日本人選手の活躍によって、飛躍的に変化してきたようだ。連日報道されるBaseballの華やかな舞台がそうさせているのだろか。
ぼくを含めて多くの子供が、そのようなやり方に疑問を感じている。もちろん、教育方針の転換や少子化、環境の変化など時代背景も影響しているのだろうが、「野球は好きだがやりたくない」・「野球は好きだがやるところがない」と嘆く子供を多く見かけるようになった。
そういう相談を受けてぼくもかっこよく答えたいものだが、恥ずかしながらぼくもしばしばグレーゾーンを歩んだことがある。
辛い練習を避けるため、わざと電車を乗り過ごしたり、グラウンドまでの距離をゆっくり遠回りして歩いたこともあった。
一流選手とは、失敗から多くのことを学べる選手のことを言う。だから、グレーゾーンは絶対に良くない。成功もなければ失敗もない道のことを言うのである。
もし、将来に渡って野球を愛しやり続けたいと思うなら、ここで逃げることはベストではない。ぼくは、大学受験のために2年間浪人をしていたとき、どうせ野球を辞め学業の道に進むんだったら、野球なんかやらずに塾にでも行ってれば良かったと思ったことがある。
でも、今こうやって野球を続け、お金をもらい、夢を与える立場になって、やっとあの時の辛い経験や諦めずに最後までやり続けたことが良かったと思えるようになった。
今のうちは、まだ分からないだろうし分かる必要もないと思う。ただ、今やっていることは絶対将来役に立つし、絶対無駄なことではない。それは、ぼくが経験者として保障する。
きっと野球が好きなんだろうし、これからも続けたいと思っているんだったら、今のグレーゾーンは卒業して毎日一生懸命がんばること。
今すぐアメリカに行くような根性がないなら、今いる環境でベストを尽くすこと。そうしないと、後で後悔するのは自分なんだから。
強く大きな“決意”がなければ、厳しいコーチには勝てないぞ!
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コメント
検索して、このブログを見つけました。
現役プロ選手の記事が読めるのは大変貴重です。
過去に3Aのゲームを2試合見ましたが、1試合は超満員でしたが、もう1試合はガラガラでした。観客数は地域によって差があるんですかね?
とにかく頑張ってください。
またマイナーリーグに興味があってブログを作りました。
相互リンク希望です。
投稿: backdrop | 2007年6月 7日 (木) 16時49分
俺からも一言。‘‘決意‘‘というのは言い換えれば‘‘覚悟‘‘だ。中学でたくさんつらいめにあうかもしれない。高校に行っても自分を認めてくれるコーチはいないかもしれない。だったら自分で‘‘道‘‘を切り開けばいい。俺は高校時代毎日ボコボコにされた。でも野球という偉大なゲームを愛していたから、絶対に投げ出さなかった。なぜか?可能性というのはいつだって自分次第で見つけることができるから。中学生の君へ・・・。今に体当たりをすること。結果ではなく自分を信じてやりつづけること。後悔をしないように一生懸命に頑張ること。‘‘本気の決意‘‘は世界を動かすことだってできる。
これらの言葉は海外のリーグで9年間プレーしてきた俺と、君の大先輩である落合陽からのプレゼントです。陽が君にくれた思い、言葉の数々は何億のお金を積んでも買えない。こういう人からの思いや言葉はこの世の中では何よりも大切なものだ。試練が多ければ多いほど人は必ず強くなる。だから君にとっては今が大チャンス。つらいことも多いだろうけど頑張って欲しいと俺も思います。このブログを見てる全ての若いボールプレーヤーへ。君たちはこれからの日本の、そして世界の野球を支える‘‘宝‘‘です。
あきらめずに自分の中でベスト尽くして頑張ってな!!
投稿: Yoshi42 | 2007年6月 7日 (木) 23時59分
陽さん、ありがとう!自分らしく野球ができるように、頑張れる場所を
見つけました。きっと今度は負けずに陽さんのように目標を持って、大好きな野球を続けて行くことでしょう。
yoshi42さんもありがとう!
とっても嬉しいです!
投稿: 母さん | 2007年6月11日 (月) 00時35分