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2007年10月12日 (金)

Angels flew down

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“天使”という言葉を辞書で調べると、そこにはこう書いてある。「天の使いとして人間界に使わされ、神の心を人間に、人間の願いを神に伝えるもの。」

そして、その下には、「A person who is very good and kind」という言葉が付け加えられている。ぼくにとっては、まさに天使のような存在だった。

彼らがいなかったら、ぼくの今シーズンはとっくに終わっていた。そのぐらいぼくを愛してくれ、助けてくれたひと。それが、EddieShirley、そしてその家族だった。

エディーとシャーリーはともに72歳と高齢ながら、いまだに共働きで忙しい毎日を送っている。

エディーの職業は弁護士と農場主。平日は弁護士活動をし、週末は家畜の飼育と販売を行い、一週間休みなく働いている。体はそんなに大きくないが、大型トラックを運転し広大な牧場を走りまわっている。

シャーリーの職業は小学校の教師。30年以上務めた学校を一度は退職したものの、今は非常勤講師として毎日いろいろな地域の学校へ出向いている。家でじっとしているより働いている方が好きと言い、週末もぼくと孫の面倒を見て毎日忙しくしている。

シャーリーは、ぼくが初めて彼らの家を訪れたときから、いつもぼくにこう言ってくれた。「ここはあなたの家、そしてあなたは私たちの家族よ。だから、なんでも相談してちょうだい。」

エディーは、耳が悪いにも関わらず一生懸命ぼくのつたない英語を聞き取ろうとしてくれた。自分の言いたいことを上手く伝えられないこともあったけど、それだけでとても嬉しかった。

ぼくが初めて彼らに挨拶をしたとき、彼らは少し緊張しているように見えた。彼らは、毎年何人もの野球選手を受け入れているが、もちろん日本人が来たのは初めてである。

きっと、想像以上に彼らはぼくにたくさんの気を使ってくれたはずだ。ぼくが、日本で見知らぬ外国人に同じことをしてあげられるかと問われれば、その答えはノーだろう。

ぼくが、フローレンスを解雇されたとき、本来であれば部屋を明け渡さなければならないのに、彼らは好きなだけここにいなさいと言ってくれた。

練習生となり、誰よりも早く球場へ行き、チームが遠征のときもぼくは球場へ行きたいんだとわがままを言っても、彼らは文句ひとつ言わず毎日送り迎えをしてくれた。

シャーリーは、どんな用事があろうと1時ぴったりに家へ戻ってきてくれたし、エディーは弁護士としての仕事が山ほどあるのに、それを早く切り上げていつも6時にぼくを迎えに来てくれた。

球場が休みで練習ができないときは、ぼくが退屈しないようにいろいろなところへ遊びに連れて行ってくれ、ぼくをいつも楽しませてくれた。

シャーリーが留守で食事を作れないときは、ぼくにいろいろなものを食べさせたいと毎日違うレストランに連れて行ってくれたし、ぼくがメニューを理解できないときは、ひとつずつ読み上げて説明してくれた。

また、彼らは日本食のことなどまったくわからないのに、お米やうどん、ラーメンなどぼくの好きそうなものを選んで買ってきてくれたし、炊飯器まで用意してくれた。

そのおかげで、ぼくは挫折することもホームシックになることもなく、新たな活躍の場を求めて新天地へ向かうことができた。

そして、フローレンスをはなれる日も、もちろんバス停まで見送りに来てくれたし、ぼくが携帯電話を持っていないから、いつでも電話ができるように$10分のフォーンカードを持たせてくれた。

帰国便の都合で荷物を置いて行きたいとわがままを言っても、「いつでも戻ってきなさい。あなたの好きなようにしていいのよ。」と言ってくれた。

ぼくは、本当に彼らに感謝しているし、アンダーソンに来ても彼らを忘れることはなかったから、観客席の人ごみの中でも彼らのことはすぐにわかった。

彼らは、片道10時間の距離を、わざわざぼくを応援しにアンダーソンまで試合を見に来てくれた。涙が出そうになるぐらい嬉しかったし、その日は試合中も観客席が気になってしょうがなかった。

そして、「あなたのベッドルームはそのまま残っているから、いつでも安心して戻ってきなさい。」と言ってくれた。

チームメイトも、「お前は本当に愛されてるな。わざわざこの距離をお前のために来てくれるなんて、俺はまったく信じられないよ。」と言っていた。

そして、フローレンスへ戻っても、残りの夏休みを満喫して帰って欲しいといろいろなところへ遊びに連れて行ってくれた。

メジャーリーグ観戦やオーケストラコンサート、動物園やフリーマーケットなど、自分たちは不慣れでも若者の好む場所をリストアップしてぼくに選ばせてくれた。

あまりの愛情に、時々なぜこんなにやさしくしてくれるんだろうと思うことがある。もしかしたら、彼らはぼくのことを誰かと勘違いしているんじゃないかと不安になることさえあった。

でも、きっと野球の神様は、ぼくにたくさんの試練を与える代わりに、ぼくがひとりぼっちで潰れないよう日本の家族と同じぐらいぼくを愛してくれるホストファミリーを用意してくれたんだろう。

これもきっと、野球がくれた最高の出会いなんだ。もし、ぼくがお金を払って普通に留学したとしても、転勤で海外赴任を命じられたとしても、こんなにすばらしい出会いはなかったと思う。

これまでの人生で、ぼくは多くの人と出会ってきたが、野球を通じて出会った人は特別な人たちばかりだ。野球を愛するという共通の気持ちが、ぼくたちの心を強く結びつけてくれる。

ぼくは、いつも新しく出会う仲間にDo you like baseball?と聞くようにしている。すると、彼らは、いつもI baseballと答える。「Likeじゃ物足りないよ!」と言わんばかりの笑顔で答えてくれる。

ぼくには生まれつきの才能も恵まれた体格もないし、豊富な経験も実績もない。それでも、ぼくはプロ野球選手としてマウンドに立ち、夢を追いかけることができる。

今回の経験で学んだことは数えきれないほどたくさんあったが、その中でもっとも強く感じたことは、夢を追いかけること、そしてアメリカで野球をやることは絶対にひとりではできないということだ。

それは、日本から、そしてアメリカから応援してくれるみなさんのヘルプとサポート、そしてたくさんの愛情があるからです。

ぼくは、野球を選んで本当に良かったと思っています。そして、彼らのことは一生忘れません。

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コメント

すごい人たちですね。普通はできないことだと思います。
きっと、人の世話が好きなのではなくて陽さんのことがすきだからあそこまで尽くせたんだと思います。そういう人たちのサポートってすごく力になるしやる気もあがりますよね。
すごくうらやましいです(笑)これからもその人たちの存在を忘れることなく夢に向かって突っ走ってください!!

投稿: sho | 2007年10月12日 (金) 10時12分

彼らには本当にたくさんの愛をもらいました。SHO君を含めて誰かに応援してもらえるのはとってもありがたいし幸せなことなんだなって思います。

SHO君のまわりにもたくさん君のことをサポートしてくれる人がいるんだろうから、彼らへの感謝の気持ちを常にもって自分への責任を全うしてください!

そうすれば、きっとみんなを幸せにすることができると思います。もちろん、SHO君のピッチングでね!!

投稿: Yoh | 2007年10月13日 (土) 02時06分

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