The Wizard Came Out
世界の「ICHIRO」との対面、そして握手。
すべてが嘘のような、まるで信じられない光景。
出会いは一期一会だ。
どんなに好きな人でも、どんなに大切な人でも、また会える保証なんてどこにもない。
ICHIROさんと同じ場所にいて、同じ空気を吸って、ぼくに黙って指をくわえている暇はないと思った。
彼が頂点に君臨するあの頂きを目指す世界中の人々の中に「OCHIAI YOH」という男がいることを知らしめたかった。
ICHIROさんから片時も目を離さずに、一挙手一投足を追って自分の存在を示した。
「ぼくが行くまでがんばってください!」
とっさに言葉が出た。
世界中の人間がICHIROさんのヒットに飽きている。
それよりも、世界のICHIROに対して臆することなく胸元を抉れる、そんな強い“ハート”を持った新しい投手の出現を世界は求めているに違いない。
三流には三流のやり方で、ICHIROさんの活躍をエネルギーに変える。
わざわざぼくのために足を止めてくれた瞬間は、ぼくにとって一生忘れられない最高の宝物になった。
今思えばほんの数分だったけど、その間はぼくにとってとてつもなく長く大きな時間に感じられた。
7年目のシーズンを迎えたことを褒めてくれた。
もちろん、シーズンインできなかったこともあるけど、「継続」することの重要性を誰よりも体現するICHIROさんの言葉は素直にうれしかった。
中学生のとき、Los Angeles Dodgersで活躍するぼくのヒーローは「HIDEO NOMO」だったが、ぼくがいつもかぶっていたのはSeattle Marinersのキャップだった。
あれから14年経って、もっともあの帽子が似合うのはICHIROさんしかいない。
今も変わらぬ“夢”がある。
この経験が、またひとつぼくに“勇気”を与えてくれた。
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